罪か、それとも愛か
車が閑静な住宅街の中に入ると、隣同士で建つ二軒の住宅が見えてくる。


一軒は琴羽の暮らす一条家。

隣家は、水上(みずかみ)家。
水上家は四人家族。外科医の父、洸平(こうへい)。看護師の母、柊子(しゅうこ)。長男冬輝は光英大学医学部三年生、それに長女で琴羽と同級生の夏姫(なつき)。


両親たちは四人共に同じ職場で、仲が良い。
父親同士は学生時代からの親友だ。
自宅も隣同士に建て、互いにいつも協力し合いながらやってきた。

冬輝と夏姫と琴羽は兄妹のように育った。
互いの親が忙しい時はどちらかの家でご飯を食べたり、泊まったりすることも日常茶飯事だ。


「夕飯の準備できてるから、荷物置いたら来いよ」

そう言って冬輝は琴羽を一条家の玄関先で降ろすと、車を隣の水上家の駐車場へ停めに行った。


琴羽は自宅に入る。
家の中は真っ暗で静かだ。車の中が暖かかったせいか、ひどく寒い。
体の芯まで冷え切る前に隣家に行こうと、琴羽は急いで制服を着替えた。

< 6 / 252 >

この作品をシェア

pagetop