罪か、それとも愛か
その時だった。


「一条家に嫁いで、子供はたった一人。しかも女しか産めなくてねぇ」
「所詮、田舎モンに一条家の妻が務まるわけがなかったのさ。全く、翔太は見る目が無かった」


驚くような内容の会話が、琴羽の耳に届いた。

琴羽は、声の主を探す。

廊下で立ち話をしている高齢の男女二人を見つけた。その顔に見覚えはない。



「ま、翔太自身も出来が悪いし」
「次は、良家の娘を見つけてやらないと」




「いぶちゃん、あれ、誰」

込み上げる怒りのあまり、琴羽の声は低く、わずかに震えていた。

「あぁ、拓人のお父さまの、はとこ、だったかな。あんな人たちに連絡なんてしていないのに、どこから聞きつけたのか。
放っておけばいいわ。後で拓人に報告しておく。拓人に任せましょう」


いぶきは琴羽の心労を考えて、彼らから引き離そうとした。

だが。

琴羽はツカツカと、彼らに歩み寄ったのだ。


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