罪か、それとも愛か
「こんばんは」


いきなり女子高校生に声をかけられてギョッとしている高齢の男女に、琴羽はニッコリと微笑んだ。
だが、その目は笑っていない。口角だけを上げた、恐怖すら感じる笑みだ。

そばにいたいぶきが息を呑む。それは相手を敵とみなした時に、ごく稀に拓人が見せる笑い方にそっくりだった。


「一条家のご親戚の方ですね、焼香でしたらあちらですが?」

「あ、いや…拓人と翔太の姿が見えないね。挨拶をしたいのだけれど。あなたは、翔太のお嬢さんかな?」

「私が誰かなんて名乗ったところで、二度とお会いすることはないわ。
焼香されないなら、帰ってください」


あまりに冷たく言い放つ琴羽にいぶきも、居合わせた夏姫と冬輝もギョッとする。



「んまぁ、なんて言い草だろう。わざわざ来てやったのに」
「一条の娘としての教育が行き届いてないね」


高齢夫婦が発したその一言に、完全に琴羽の堪忍袋の緒が切れた。



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