罪か、それとも愛か
※
泣き崩れる夏姫の背を優しく撫でてやりながら、冬輝はまっすぐに琴羽を見ていた。
この場にいる人々の瞳は涙に濡れ、悲しみにつつまれた空気の中、琴羽は涙一粒こぼすことなく、毅然としているように見えた。
恐らくその姿が健気に見えるのだろう、一層人々の涙を誘っている。
だが、生まれた時からそばで見てきた冬輝には分かる。
あれは、一条の娘としての顔だ。
本当の琴羽は寂しがりやで甘えたがりだ。幼い頃から忙しい両親に寂しくても寂しいと素直に言えず、いつも冬輝と夏姫の手をぎゅっと握って、泣くのを堪えていた。
一条の娘としての矜持が甘えを許さないのだ。
今は手を握ってやることはできないから、せめて視線だけは離さない。
これまで琴羽の世界の中心は母だった。母の背中を見つめ、憧れて、追いかけていくはずだった。
だから失ったものの大きさは、計り知れない。
特に母が亡くなったあの夜は、母の後を追って死んでしまうんじゃないかと、本気で危惧した。
琴羽を失いたくない。
その思いで、彼女を抱いた。
それは二人だけの甘美な秘密。愛や恋といった感情のない、生きる為の儀式。
もしこれを罪というなら、琴羽と共に堕ちる。
ーー琴羽のこと、これからもお願いね。助けて支えてやって。
まことの言葉が冬輝の心に深く刻まれている。
琴羽を守らなくては。命をかけて支えていくんだ。
この覚悟が、罪と愛のはざまで揺れる冬輝を支えていた。
泣き崩れる夏姫の背を優しく撫でてやりながら、冬輝はまっすぐに琴羽を見ていた。
この場にいる人々の瞳は涙に濡れ、悲しみにつつまれた空気の中、琴羽は涙一粒こぼすことなく、毅然としているように見えた。
恐らくその姿が健気に見えるのだろう、一層人々の涙を誘っている。
だが、生まれた時からそばで見てきた冬輝には分かる。
あれは、一条の娘としての顔だ。
本当の琴羽は寂しがりやで甘えたがりだ。幼い頃から忙しい両親に寂しくても寂しいと素直に言えず、いつも冬輝と夏姫の手をぎゅっと握って、泣くのを堪えていた。
一条の娘としての矜持が甘えを許さないのだ。
今は手を握ってやることはできないから、せめて視線だけは離さない。
これまで琴羽の世界の中心は母だった。母の背中を見つめ、憧れて、追いかけていくはずだった。
だから失ったものの大きさは、計り知れない。
特に母が亡くなったあの夜は、母の後を追って死んでしまうんじゃないかと、本気で危惧した。
琴羽を失いたくない。
その思いで、彼女を抱いた。
それは二人だけの甘美な秘密。愛や恋といった感情のない、生きる為の儀式。
もしこれを罪というなら、琴羽と共に堕ちる。
ーー琴羽のこと、これからもお願いね。助けて支えてやって。
まことの言葉が冬輝の心に深く刻まれている。
琴羽を守らなくては。命をかけて支えていくんだ。
この覚悟が、罪と愛のはざまで揺れる冬輝を支えていた。