罪か、それとも愛か


冬輝が抱いてくれたあとは、満たされた気持ち半分と罪悪感半分の、複雑な思いで朝を迎える。

琴羽にとって冬輝の熱は媚薬だ。
力強く哀しみの沼から引き上げてくれる。そして冷え切った心までその熱で包んで温めてくれる。生きる力を注いでくれる。

だけどそれは、ほんの刹那だ。
冬輝は琴羽のものじゃない。冬輝の心はカノジョである愛紗のものだ。あくまで『借り物』なのだ。

ーーこんなこと続けていても、罪が深くなるだけ。

いつまでも頼るわけにはいかない。
どうにかして自分の力だけで、強くならなくちゃならない。

分かっていても冬輝をどうしようもなく欲してしまう。


ーーこの気持ちは何だろう。

湧き上がってくるこの気持ちは恋や愛なんてものじゃない。そんな甘ったるいものじゃない。

これがもし恋や愛という感情ならば、私は愛紗ちゃんのように冬輝を自分一人のものにしたいと執着して、溺れてしまうだろう。
それほどの想いは、もはや罪だ。
私が私でなくなってしまう。

私はいつでも機械のように正確で、強くて、冷静で、誰より頼られる存在でいなければならないから。

だから、この気持ちは。
彼を欲するこの気持ちは、恋や愛なんてものじゃない。

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