罪か、それとも愛か
「じゃあ琴羽ちゃんこれ、少しだけど食べて?ちゃんと、栄養取ってね」

柊子は保存容器に詰めた常備菜をいくつも差し出す。だが、琴羽はその一つだけを受け取った。

「ありがと。でもこんなに一人で食べきれないよ。今日は自宅学習日だからこれ、お昼に夏姫と食べる。残りはパパに渡して?パパ、多分、ロクなもの食べてないと思うから。
心配しないで、柊子さん。私は大丈夫」

「琴羽ちゃん…」

だが柊子は心配を拭えずに、琴羽の頭をそっと撫でた。

「冬輝も夏姫も、なるべく私を一人にしないようにしてくれて、感謝してる。
だけどね、私は現状を受け入れないと。
ママはもういない。私は一人っ子で、頼るきょうだいはいない。自分の力で前に進まないといけないの。
私もパパと同じ。一条の人間らしく生きていかなくちゃならない」

「わかってる。琴羽ちゃんは、翔太先生と同じ。『一条』を背負って生きている。
でもね、ここでは鳥が羽を休めるように、少し息を抜いて。一条の御令嬢の鎧を脱いで、ここではただ十八歳の女の子でいて構わないのよ。
生まれた時から、ずっと見てきた。私のもう一人の娘だと思ってる。だから、私たちには甘えていいんだからね!」

柊子の言葉は母の愛にも似た大きな優しさで琴羽を包んでくれる。

「うん、ありがとう柊子さん」
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