罪か、それとも愛か

そんな状況で臨んだ光英大学医学部の受験は『不合格』だった。




琴羽は『不合格』と表示されたパソコンの画面を見て、ほっとしている自分に気づいた。

目標としていた母を失った今、琴羽にとって医師になることへの情熱が冷めてしまった結果だ。


ーーママの望んだ医師への道を諦めてホッとしているなんて。
やっぱり私は罪深い親不孝娘だ。



「琴羽どうだった?」

今日が合格発表だと知る夏姫が冬輝と一緒に一条家にやってきた。

パソコンの画面を見て微動だにせず、返事のない琴羽を心配して夏姫が画面をのぞき込む。

「ウソ…」

合格確実だと思っていた夏姫は、まさかの不合格の文字に泣きそうな顔をしている。
冬輝は絶句していた。


「やだ、夏姫、泣かないでよ。これで吹っ切れる」

「吹っ切れるって…他の大学の医学部を受けなよ。まだ、チャンスはあるじゃない。
小さい頃から琴羽はずっと、マコさんみたいなお医者さんになるって言ってたのに」

「うん。でもさ、追っていたママの背中が無くなったから。
ごめんね、冬輝。忙しい時間を割いて勉強教えてくれたのに」
< 84 / 252 >

この作品をシェア

pagetop