罪か、それとも愛か
「そんなことはいいんだ。いや、俺のせいか。勉強に集中出来なかったよな…」

夏姫の前だ。はっきりとは言わないが、勉強を教えるといいつつ、琴羽に求められるままに抱き合っていたことで冬輝が責任を感じている。
顔をこわばらせた冬輝に、琴羽は大きく首を横に振ってみせた。

「違うよ。冬輝は私を支えてくれた。本当に感謝してる。
これは、私自身のせいなの。
試験受けている間、医学部を目指す他の受験生に違和感を感じて、集中が出来なかった。
今の私は医師として働く自分を想像できなくなってる。
それに、どうしても『死』が怖い。医師になれば『死』はいつでもそばにある。私には耐えられない。
だからこれで、いいの。
私は、医師にならない。
私は、医師になって欲しいというママの希望は叶えられない、親不孝な罪深い娘。
そして、医師にならない私には道は一つしかない。
私は『一条』の人間として、経営の道を生きる」
< 85 / 252 >

この作品をシェア

pagetop