ひとりぼっちの王子
「妹さんを助けてあげられるのは、君だけだと思うよ!
このまま普通に待ってても、手術できるようになる前に亡くなっちゃうんじゃない?
妹さんに普通の生活をさせてあげたいと思うでしょ?」


悪魔の囁きだった━━━━━━


すぐにはっきり断れないのは、確かに俺にとって晴加は悩みのタネだからだ。

いくら空羅が受け入れてくれたとはいえ、一生面倒みるのは難しい。
俺達だって将来は、自分達の子どもが欲しいと思っている。
その時、晴加のことが足かせになるのではないかと。
それを全部わかっていて、この男は俺に言ってるのだ。
卑怯だと思っていても、言い返せなかった。



「ちょっと、考えさせて下さい………」



どうすれば、いいんだ━━━━━━
どうしようもない気持ちで、頭の中がぐちゃぐちゃだ……



まさか晴加のことを、だしてくるとは………



「いいけど、今週中に返事ちょうだいね!
俺だって一刻も早く、空羅を俺だけのモノにしたいんだから!」
━━━━━━じゃあ今週末の仕事終わりに、ここで!
いい返事待ってるよ☆」


満面の笑みの副社長を尻目に、俺は副社長室を出た。
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