厳島に散ゆ~あんなに愛していたのに~
 私の父は、先代様の頃から家臣として大内家を支えてきた。


 先代様の薨去後は、まだお若い御屋形様を補佐して、お仕えしていくこととなる。


 父は後年、何度かつぶやいていたものだ。


 「先代様は臨終の床でも、御屋形様と大内家の行く末を心配していた」という。


 御屋形様は武芸よりも、風流を好まれる方だった。


 武士というより貴族。


 先代様の薨去に伴い、御屋形様は年若くして家督相続。


 本拠地である周防の他、長門(ながと;山口県西部)・石見(いわみ;島根県西部)、安芸(あき;広島県西部)、豊前(ぶぜん;福岡県東部)、筑前(ちくぜん;福岡県西部)にまで勢力を広げた大内家の家督を守らなければならない。


 生まれながらの使命がその双肩に重くのしかかる。
< 7 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop