あやかしあやなし
「おや。ではおぬしらは、何故鬼っ子を敵視するのじゃ?」

 物の怪たちが鬼っ子のことを敵視するのは、物の怪っぽさがないからかと思ったのだが、どうやらそうではないようだ。

「和尚さん、忘れてない? そいつはそれなりのことを、おいらたちにしたじゃない」

 ちちち、と指を振りながら、小丸が口を挟んだ。

「物の怪狩りの首謀者だよ? 敵視して当然」

「それとて真の首謀者は他におったのであろ。この者は利用されただけ。それで敵視されるのは、鬼っ子にとってもいい迷惑じゃろうて」

 鬼っ子にも全く責任がないわけではないので、いい迷惑、とまでは言えないのだが、物事をあまり深く考えない物の怪たちの手前、和尚は鬼っ子の肩をもつ。

「……そういえば、章親のところにいたときに、いろいろ書物を読んだのだが」

 黙って聞いていた惟道が、不意に口を開いた。

「鬼というのは、人の成れの果てだというぞ」

「まぁそうかもね。鬼って全部人型だもの」

 考えてつつ、小丸が軽く言う。

「だから、こ奴は鬼などではない」

「はい?」

 思い切り首を傾げる小丸に、惟道は冷めた目を向けた。

「人の成れの果てが鬼だとすると、生まれながらの鬼などいるものか。親が鬼だとしても、その親とて元は人なのだから、生まれてくる子は人であろう」

「あ~、なるほど。言われてみれば、そう……なのかな?」

「人の成れの果て、とあるのであれば、生まれた時点で鬼であろうはずがない。よってこ奴は、ただの人だ」
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