あやかしあやなし
当たり前のように断じる惟道に、周りの小さな物の怪たちが、ぱちぱちと拍手を送る。それを当の本人である鬼っ子は、涙目のままきょとんと眺めた。そして、はと、と我に返る。
「た、ただの人に、角があるもんかい。耳だってこんな尖ってるし、異形すぎるよ」
「異形すぎる、とまでは思わぬ。が、確かに単なる人ではないか……」
自分で断じておきながら、惟道は少し考えた。よくよく思い出してみれば、一番初めは姿自体を偽っていたし、安倍屋敷で章親を攻撃しようとしたときは、腕が一瞬で鉤爪になった。それはやはり、人ならざる力だ。
「確かに鬼は人の成れの果て。うむ、しかも大江山の鬼ともなると、かなりの大物じゃ。その血を引いておるのであれば、やはり何らかの影響は残るのやもしれぬのぅ」
「人が鬼になるのは、かなりの負の力よね。そっか、お前、きっと負の感情が高まると、姿に出てしまうんだよ」
ぽん、と小丸が手を打った。気の高ぶりで姿が変わってしまうのは、物の怪に有りがちだ。
「小丸もすぐに尻尾を出すしのぅ」
頷く和尚に、いーっと顔を突きだし、小丸は鬼っ子に向き直った。
「お前、あの術師といる間、常に姿を変えてただろ? それで疲れちゃってて気が荒れてたんだよ。だから負の力が大きくなって、攻撃的になってたんだな」
「章親のおかげで、その辺りの悪い気は祓われただろう」
章親自身は、鬼っ子の浄化ができない、と言っていたが、わざわざ浄化しなくても、章親といるだけで負の気持ちは和らぐ。章親が意識しなくとも、彼は癒し効果抜群なのだ。
「今は周りに対して、攻撃してやろうとか思わぬだろう」
「……でも、惟道ほど打ち解けられる気がしない」
しょぼんと下を向いて、鬼っ子はぼそりと言う。
「た、ただの人に、角があるもんかい。耳だってこんな尖ってるし、異形すぎるよ」
「異形すぎる、とまでは思わぬ。が、確かに単なる人ではないか……」
自分で断じておきながら、惟道は少し考えた。よくよく思い出してみれば、一番初めは姿自体を偽っていたし、安倍屋敷で章親を攻撃しようとしたときは、腕が一瞬で鉤爪になった。それはやはり、人ならざる力だ。
「確かに鬼は人の成れの果て。うむ、しかも大江山の鬼ともなると、かなりの大物じゃ。その血を引いておるのであれば、やはり何らかの影響は残るのやもしれぬのぅ」
「人が鬼になるのは、かなりの負の力よね。そっか、お前、きっと負の感情が高まると、姿に出てしまうんだよ」
ぽん、と小丸が手を打った。気の高ぶりで姿が変わってしまうのは、物の怪に有りがちだ。
「小丸もすぐに尻尾を出すしのぅ」
頷く和尚に、いーっと顔を突きだし、小丸は鬼っ子に向き直った。
「お前、あの術師といる間、常に姿を変えてただろ? それで疲れちゃってて気が荒れてたんだよ。だから負の力が大きくなって、攻撃的になってたんだな」
「章親のおかげで、その辺りの悪い気は祓われただろう」
章親自身は、鬼っ子の浄化ができない、と言っていたが、わざわざ浄化しなくても、章親といるだけで負の気持ちは和らぐ。章親が意識しなくとも、彼は癒し効果抜群なのだ。
「今は周りに対して、攻撃してやろうとか思わぬだろう」
「……でも、惟道ほど打ち解けられる気がしない」
しょぼんと下を向いて、鬼っ子はぼそりと言う。