あやかしあやなし
「別に外道丸は、言い寄ってきた女子を弄んだわけではないのよね?」
文を寄越した女子を片っ端から弄んだのであればわからないでもないが。だが羽衣は、こくりと頷いた。
「外道丸がおったのは、戒律の厳しい寺じゃったしの。文を貰うても読みもせず放置。つれなくされればされるほど燃え上がるのか、それでも文は引きも切らず届く。……迷惑な話よのぅ」
「そんで挙げ句の果てに呪われるって……。めっちゃ気の毒じゃない?」
「全くじゃ」
羽衣も大きく頷く。
「まぁそういうわけで、外道丸は人が嫌いになったというわけじゃな。人のせいで人の世で生きられぬ姿にされ、大江山の山奥へと逃れたわけじゃ」
「人などそんなものよ」
ふん、と惟道が鼻を鳴らした。
「なるほどね。だったら大江山の鬼の悪行も納得できるってなもんだね」
あっさりの小丸が頷くが、羽衣は、ん? と首を傾げた。
「悪行? ……ああ、まぁ善い行いでなはいがのぅ。貴族の娘を拐っておったのだし」
「そんな軽いもの? 食べてたんでしょ?」
おずおずと鬼っ子が聞くと、羽衣は、驚いた顔をした後、思い切り顔をしかめた。
「いくら鬼でも、元々人なのじゃから、好き好んで人など食わんよ」
「だって、誰も帰って来てないっていうよ。帰って来たのは母上だけだって」
「公になっておるのが、そなたの母だけということじゃ」
ぽかんとした鬼っ子と小丸が顔を合わす。
「まぁ全員無事に戻ったのかは知らんがな、一人だけということはない。そもそも鬼に連れ去られた娘など、戻っても世間に出られまい。全く人の世というのは人の目が全てよな。皆、貴族の姫君じゃからな、死んだことにしたほうが、世間的にいいのであろうよ」
ため息と共に言う羽衣に、また惟道が鼻を鳴らした。
「全く人というのは勝手なものじゃな。元々それほど人気の男子なのであれば、多少姿が変わろうと良いではないか。まして女子に想われるが故の変化なのであれば女子のせいなのだから、言ってしまえば拐われた女子らのせいであろう。焦がれておった相手に拐われたのであれば幸運ではないか」
文を寄越した女子を片っ端から弄んだのであればわからないでもないが。だが羽衣は、こくりと頷いた。
「外道丸がおったのは、戒律の厳しい寺じゃったしの。文を貰うても読みもせず放置。つれなくされればされるほど燃え上がるのか、それでも文は引きも切らず届く。……迷惑な話よのぅ」
「そんで挙げ句の果てに呪われるって……。めっちゃ気の毒じゃない?」
「全くじゃ」
羽衣も大きく頷く。
「まぁそういうわけで、外道丸は人が嫌いになったというわけじゃな。人のせいで人の世で生きられぬ姿にされ、大江山の山奥へと逃れたわけじゃ」
「人などそんなものよ」
ふん、と惟道が鼻を鳴らした。
「なるほどね。だったら大江山の鬼の悪行も納得できるってなもんだね」
あっさりの小丸が頷くが、羽衣は、ん? と首を傾げた。
「悪行? ……ああ、まぁ善い行いでなはいがのぅ。貴族の娘を拐っておったのだし」
「そんな軽いもの? 食べてたんでしょ?」
おずおずと鬼っ子が聞くと、羽衣は、驚いた顔をした後、思い切り顔をしかめた。
「いくら鬼でも、元々人なのじゃから、好き好んで人など食わんよ」
「だって、誰も帰って来てないっていうよ。帰って来たのは母上だけだって」
「公になっておるのが、そなたの母だけということじゃ」
ぽかんとした鬼っ子と小丸が顔を合わす。
「まぁ全員無事に戻ったのかは知らんがな、一人だけということはない。そもそも鬼に連れ去られた娘など、戻っても世間に出られまい。全く人の世というのは人の目が全てよな。皆、貴族の姫君じゃからな、死んだことにしたほうが、世間的にいいのであろうよ」
ため息と共に言う羽衣に、また惟道が鼻を鳴らした。
「全く人というのは勝手なものじゃな。元々それほど人気の男子なのであれば、多少姿が変わろうと良いではないか。まして女子に想われるが故の変化なのであれば女子のせいなのだから、言ってしまえば拐われた女子らのせいであろう。焦がれておった相手に拐われたのであれば幸運ではないか」