あやかしあやなし
「外道丸はのぅ、そんなにずっと女子に対する恨みを持ち続けておったわけではない。元々そう悪い性根でもなかったのじゃろ、拐った女子も、そう酷い目にあったわけでもない。せいぜい下女として使われておった程度じゃ。まぁ元が貴族の姫君じゃから、それだけでも女子からしたら大層な目に遭ったと思うかもしれぬが」

「そういえば、討伐隊は拐われた女子の一人と途中で会って、手引きを頼んだとか」

 惟道が口を挟んだ。

「そう。おそらくそれが鬼っ子の母者じゃな。考えてもみよ、母者は道中で討伐隊と会ったのじゃぞ? 屋敷の外に出ておったということじゃ。外道丸から余程信頼されておったと思わぬか? また、母者も屋敷の外に出たとて、逃げもせなんだな。ある程度心が通い合っておった、と見るべきじゃ」

 ふむふむ、と聞いていた小丸が、しばらくして、あ、と顔を上げた。

「なのに結局裏切った。その怒り?」

「そうじゃな。……怒りと、絶望……といったところかの。母者が最後まで外道丸側におれば、案外幸せに暮らせたかもしれぬ。先にも言うたように、外道丸は姿は変わったものの、性根まで変わったわけではない。母者のことは、大事にしておったのやも。孕んでおったのも母者だけ。先は無理やり孕まされたと言ったが、考えてみれば案外想い合った故のことやもしれぬ」

「でも最後の最後に寝返られたら、そりゃ怒るよねぇ」
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