あやかしあやなし
「しかも討伐隊も、外道丸が心を開いてもてなした席で毒酒を盛った。人全てに対する恨みが弾けたのだろうよ。そしてそれは、全ての元凶である女子へ。おそらく女子の腹へ向けて、ありったけの呪いを打ち込んだんじゃろ」

「は。やはり人など、妖よりも汚いものよな」

 惟道が、短く息を吐く。そういう惟道が、今ここにいる唯一の人間のはずだが。

「おぬしの力は良くない方向でしか発揮されぬであろう? おぬしの中に負の感情がわけば湧くほど力は強まる。人を許さぬ、という外道丸の呪いのせいよ」

「ん? でも姿を変えるってのは? 初めはもっと大人のふりしてたよ?」

「それとて人を欺くためじゃろ」

 善い行いのためなら、そういった人ならざる力は発揮されないという。

「変なの。善い行いのために使うべきよね」

「力の源が恨み・怒りなのじゃから仕方ない」

 幾度目かのため息をつき、羽衣は脇息に寄り掛かった。

「……なるほど。恨み、呪いか……」

 何か考えるように言い、惟道は顎を擦った。
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