あやかしあやなし
「迦楼羅焰は、物理的にモノを焼くわけではないのではなかろうか」

「どういうことさ?」

「俺の中におった鬼を滅するとき、章親は鬼を抱えたまま迦楼羅焰で焼いたそうだ。でも章親は火傷も負わなんだ」

 そういえば鬼は焼けたから、物理的に焼かないわけでもないか、と呟く。

「もっともその時俺はすでに気を失ってたから、実際に見たわけではないが」

 その時のことは、大分経ってから聞いた。惟道と章親の傷が癒えてから、守道も交えて話をしたのだ。

「もう少し詳しく聞きたいが……章親の負担になることは避けたいな」

 惟道は術者ではない上に、実際見たわけではない。人は焼かないわけではなく、章親だから何ともなかっただけかもしれない。
 本当に不浄のみを焼き払うのだとしても、鬼っ子の『負の部分』がどの程度かもわからないし、うっかり鬼っ子を焼き尽くしてしまったら、物の怪にも優しい章親のこと、罪の意識に苛まれるだろう。

「章親には頼めんな」

 となると守道か。はて、あの者はどういう者だったか。
 安倍家にいたとき、守道とも交流があった。が、元々人に興味のない惟道である。守道も、特に積極的に惟道と仲良くなろうとしていたわけでもないし、親友である章親の単なる知り合い程度の接し方だった。
 故に、さして親しくもないのだ。
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