あやかしあやなし
「烏鷺、しっかりせぃ」
烏兎がそろりと籠から出したのは、小さな黒い鳥だ。
「烏天狗か」
惟道が、ずい、と前に出た。その分惟道の周りの物の怪たちも前に出る。
「酷い怪我だな。術を受けたのか?」
「ちょっと惟道、大丈夫なの? 術を受けたんだったら、影響が残ってるかもよ?」
烏兎の腕の中でぐったりしている烏鷺を覗き込む惟道に、小丸が少し慌てて言った。が、惟道は気にせず、烏鷺に手を翳す。
「大丈夫だ。術に関することなら、安倍家で少し学んだ」
「安倍家っ!」
惟道の言葉を聞いた途端、烏兎は声を上げた。そして烏鷺を抱いたまま、大きく飛び退る。
「おぬしは陰陽師の手の者かっ! 道理で何だか妙だと思ったわ!」
敵愾心剥き出しに叫び、地を蹴って高い木の上に飛び移る。後ろ向きだというのに器用なものだ、と思いながら、惟道はその軌道を見つめた。
「烏兎! ちょっと待ちなって! あんたはともかく、その子はそのままじゃ危険だよーっ」
「こ奴をこのような目に遭わせるような輩は信用できん!」
「騒がしいのぅ、何事じゃ?」
小丸と烏兎が言い合っているところへ、ひょい、と和尚が顔を出した。
「あ、和尚様ー。烏兎が」
「何じゃ、久しいの」
呑気に手を翳して大木をふり仰ぐ和尚に、烏兎は少し躊躇った。が、再度ぎゅ、と烏鷺を抱くと、そのままどこぞへ姿を消してしまった。
「……あ~あ、大丈夫なのかなぁ」
困り果てたように言う小丸に、和尚が首を傾げる。
「何じゃ、何をしにきおったのじゃ? あ奴は」
「何か凄い怪我してる子、連れてたんだよ」
「ほぅ?」
呟いた和尚の目が、烏兎のいた大木の根元にある籠に止まった。烏鷺を入れていた籠だ。
「ほぅ、確かに。結構な出血じゃなぁ」
大木に歩み寄り、籠をしげしげと見る。
烏兎がそろりと籠から出したのは、小さな黒い鳥だ。
「烏天狗か」
惟道が、ずい、と前に出た。その分惟道の周りの物の怪たちも前に出る。
「酷い怪我だな。術を受けたのか?」
「ちょっと惟道、大丈夫なの? 術を受けたんだったら、影響が残ってるかもよ?」
烏兎の腕の中でぐったりしている烏鷺を覗き込む惟道に、小丸が少し慌てて言った。が、惟道は気にせず、烏鷺に手を翳す。
「大丈夫だ。術に関することなら、安倍家で少し学んだ」
「安倍家っ!」
惟道の言葉を聞いた途端、烏兎は声を上げた。そして烏鷺を抱いたまま、大きく飛び退る。
「おぬしは陰陽師の手の者かっ! 道理で何だか妙だと思ったわ!」
敵愾心剥き出しに叫び、地を蹴って高い木の上に飛び移る。後ろ向きだというのに器用なものだ、と思いながら、惟道はその軌道を見つめた。
「烏兎! ちょっと待ちなって! あんたはともかく、その子はそのままじゃ危険だよーっ」
「こ奴をこのような目に遭わせるような輩は信用できん!」
「騒がしいのぅ、何事じゃ?」
小丸と烏兎が言い合っているところへ、ひょい、と和尚が顔を出した。
「あ、和尚様ー。烏兎が」
「何じゃ、久しいの」
呑気に手を翳して大木をふり仰ぐ和尚に、烏兎は少し躊躇った。が、再度ぎゅ、と烏鷺を抱くと、そのままどこぞへ姿を消してしまった。
「……あ~あ、大丈夫なのかなぁ」
困り果てたように言う小丸に、和尚が首を傾げる。
「何じゃ、何をしにきおったのじゃ? あ奴は」
「何か凄い怪我してる子、連れてたんだよ」
「ほぅ?」
呟いた和尚の目が、烏兎のいた大木の根元にある籠に止まった。烏鷺を入れていた籠だ。
「ほぅ、確かに。結構な出血じゃなぁ」
大木に歩み寄り、籠をしげしげと見る。