あやかしあやなし
「おぬしの術がきつかったのかのぅ。じゃが単に攻撃したわけではなし。わしらの目論見誤りかのぅ」

「確かに思ったより邪気が強ぅございました。考えてみれば、姿を都度変えることが出来るほどの邪気を持っておった故、その邪気を根こそぎ奪うと体への負担は相当なものだったのやもしれませぬ。内在する邪気に合わせて、耳や角などの、人としての姿かたちを変えたのも親の邪気。……そうか、この有り様は内在する力よりも、元々の姿かたちによるところが大きいと見ました」

 男が言いながら示したのは、鬼っ子の頭。

「角が無くなっております。耳もよぅわからぬが、妙な尖り方はしておらぬ様子。実際の姿の変化が頭の辺りに集中しているため、より負担が大きかったのではないでしょうか」

「ふむ。じゃが、角が無くなるということは、頭の肉が削がれているということか」

「焼き崩れておりますな」

 うげ、と小丸が顔を顰めた。さっきまでは炭の塊だったが、男に大分払われて、ようやく鬼っ子の姿を取り戻している。が、男と僧正坊の分析がグロすぎる。

「あ、あの。鬼っ子は、生きてるんですか?」

 目に涙を溜めたままの章親が言うと、男は鬼っ子の胸に耳を寄せた。

「うむ、死んではおらぬ。だがこれだけの術を食らったのだし、果たして目を開けるか……」

「元・人だとはいえ、魔道に堕ちてしまった父親の全ての呪いを一身に受けてしまったからのぅ。それでなくても頭への衝撃は、生けるものには危険じゃ」

 僧正坊の言葉に、そっと惟道は己の額に手をやった。醜い傷が残る額は、かつて術が絡んだ扇が当たったためだ。あれも術の暴発だった。額だけで、惟道もしばらく昏睡したのだ。
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