あやかしあやなし
「飯綱も狩られたってことか?」

「いや、妙な気は感じなかったんで、多分不穏な空気を察知して身を隠したのだと思う」

「そうか……。まぁ無事であれば、とりあえずは安心だ」

 ほ、と守道が息をつく。章親といることで、守道も大分物の怪に対する態度が柔らかくなった。

「それにしても、真っ当に生きてる物の怪まで狩るとは、いささか乱暴だな。しかもそれを陰陽師を名乗る奴がやってるとなると、これは問題だ」

「そうだね。公に陰陽寮から指示が出てるわけではないんだよね」

「都はどうやったって、物の怪を排除なんかできない。むしろ物の怪のほうが昔からいるんだ。共存してこそなのに、害のある物の怪ならともかく、ちゃんと共存している物の怪まで狩る必要はない」

 渋い顔で腕を組み、守道が息をつく。

「それで、惟道たちは物が売れず必要なものが買えなくて困ってるってことかぁ」

 納得したように頷く章親に、ん? と小丸は首を傾げた。確かに作ったものが売れないのは困るのだが、今回それは、ついでの用事だ。

「惟道に振売りができるとも思えないし、うん、これはこっちで引き取って、僕が知り合いの人にまた引き取って貰うよ」

 章親が大きな風呂敷包みを引き寄せ、いくらぐらいかな、と守道と言葉を交わす。

「へぇ、ありがとうございます……て、いやいや」

 ようやく都に出てきた本来の目的を思い出し、小丸はずい、と膝を進めた。

「そうそう、そもそも物の怪狩りっていっても都のことだからね、おいらたちにはあんまり影響のないことなの。まぁ飯綱がいないってのは結構な痛手だけど。今回おいらが出張ってきたのは、その物の怪狩りに遭ったらしい奴らが逃げ込んできたことで」

「知り合い?」

「烏兎っていう烏天狗でさ。烏天狗は元々鞍馬のお山に本拠地があるから、うちにはいないもんなんだけどね、和尚が鞍馬寺と繋がりがあるもんだから、まぁたまに来ることもあったんだけど。で、烏兎も昔からの顔馴染みで。そいつが訪ねてきたんだけど、瀕死の雛を連れてたの」

「ええっ!」
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