あやかしあやなし
「なるほどのぅ。確かにその雛、危うい状態なのであれば、そうそう遠くまでは行けまいなぁ」
「小丸が早々に手がかりを掴んでくれればいいのだが」
「おや、都に行っているのは小丸かね。だったら足跡を追えるよ」
「いや、小丸の足を追って貰っても、烏天狗を見つけなければ意味がない」
「なるほどのぅ」
納得しながらも、女子は瞑想するように目を伏せる。ぴり、と空気が張りつめた。この女子は羽衣という狐だ。同じ眷属同士、気を追うことができるのだろう。
「おや?」
羽衣が、いきなりぱちりと目を開けた。
「小丸が戻ってきておるぞ?」
「え、無事に烏天狗を見つけたのか?」
惟道が聞くと、羽衣は少し首を傾げた。
「うーむ。小丸の気配に妙な穢れは感じんがなぁ。それよりも、小丸だけではないような」
訝しげな惟道の手を取り、羽衣はまた目を伏せた。惟道の手に、弱い痺れのようなものが走る。
「小丸に、おぬしがここにおると知らせてみたが」
はたして上手く伝わったかどうか、と、羽衣は呑気に言う。小丸が全く羽衣のことを知らないのであれば伝わらないかもしれないが、そもそも惟道を羽衣に引き合わせたのは小丸なのだ。元々知り合いだったらしい。
「何か妙な気を連れておるしのぅ」
ぶつぶつ言っていると、やがてがさがさと竹藪が鳴り、社の前が若干騒がしくなった。
『うわぁ、風情あるお社だねぇ』
「ここいらは京の中でも気の流れが特殊なところだからね。旅人とかがしょっちゅう迷う」
聞こえてきた話し声に、惟道が振り向いた。まさか、と思いつつ、立ち上がって戸を開ける。
『あ、惟道! 元気?』
ぱ、と笑顔を見せたのは、惟道の予想通り、安倍章親だ。が、陰陽師とはいえ只人である章親が、この短時間で都からここまで来られるはずがない。
「小丸が早々に手がかりを掴んでくれればいいのだが」
「おや、都に行っているのは小丸かね。だったら足跡を追えるよ」
「いや、小丸の足を追って貰っても、烏天狗を見つけなければ意味がない」
「なるほどのぅ」
納得しながらも、女子は瞑想するように目を伏せる。ぴり、と空気が張りつめた。この女子は羽衣という狐だ。同じ眷属同士、気を追うことができるのだろう。
「おや?」
羽衣が、いきなりぱちりと目を開けた。
「小丸が戻ってきておるぞ?」
「え、無事に烏天狗を見つけたのか?」
惟道が聞くと、羽衣は少し首を傾げた。
「うーむ。小丸の気配に妙な穢れは感じんがなぁ。それよりも、小丸だけではないような」
訝しげな惟道の手を取り、羽衣はまた目を伏せた。惟道の手に、弱い痺れのようなものが走る。
「小丸に、おぬしがここにおると知らせてみたが」
はたして上手く伝わったかどうか、と、羽衣は呑気に言う。小丸が全く羽衣のことを知らないのであれば伝わらないかもしれないが、そもそも惟道を羽衣に引き合わせたのは小丸なのだ。元々知り合いだったらしい。
「何か妙な気を連れておるしのぅ」
ぶつぶつ言っていると、やがてがさがさと竹藪が鳴り、社の前が若干騒がしくなった。
『うわぁ、風情あるお社だねぇ』
「ここいらは京の中でも気の流れが特殊なところだからね。旅人とかがしょっちゅう迷う」
聞こえてきた話し声に、惟道が振り向いた。まさか、と思いつつ、立ち上がって戸を開ける。
『あ、惟道! 元気?』
ぱ、と笑顔を見せたのは、惟道の予想通り、安倍章親だ。が、陰陽師とはいえ只人である章親が、この短時間で都からここまで来られるはずがない。