あやかしあやなし
「浄化が効かないなど、章親、奴に何かされたのではないかっ?」
がばっと覗き込み、再びその勢いのまま少年に向き直る。
「貴様! 章親に何をしたのじゃ!」
ぴ、と錫杖を突き付けられ、少年はまたも竦み上がる。
「違うって。そういうんじゃないよ」
「何が違う! 章親の浄化が効かないなど、あるわけなかろうが!」
章親の取りなしを遮り、魔﨡の錫杖は今にも振り下ろされそうな高さに掲げられた。
「もー、ちょっと落ち着いて。浄化って全てに効くわけじゃないんだよ。穢れじゃないものだってあるんだから」
「穢れじゃない?」
「そうだよ。物の怪だって悪さしなければ穢れてない。穢れに触れてなければ、物の怪だって人と変わらないよ」
「こ奴は思い切り穢れておる! 章親に傷をつけたではないか!」
思い出したのか、魔﨡が縋り付く章親を振り払い、振り被った錫杖を振り下ろした。
「わーっ! ちょ、ちょっと待ってって!」
振り払われたものの、再び飛び付いた章親のお陰で、魔﨡の錫杖は狙いを外した。ぶぅん、と唸りを上げた錫杖が、少年の側頭部を掠めて床に叩き付けられた。がきぃん、と派手な音がする。後ろの青年のほうが気を失った。
「あっ?」
驚いた拍子に、少年の耳が異形になった。あまりのことに、思わず正体を晒してしまったようだ。だが耳が縦長で尖った他は、特に大きく変わったところはない。
『あ、そいつ、鬼です』
びょーん、とどこからか飛んできた毛玉が、章親の肩に飛び乗って叫んだ。
がばっと覗き込み、再びその勢いのまま少年に向き直る。
「貴様! 章親に何をしたのじゃ!」
ぴ、と錫杖を突き付けられ、少年はまたも竦み上がる。
「違うって。そういうんじゃないよ」
「何が違う! 章親の浄化が効かないなど、あるわけなかろうが!」
章親の取りなしを遮り、魔﨡の錫杖は今にも振り下ろされそうな高さに掲げられた。
「もー、ちょっと落ち着いて。浄化って全てに効くわけじゃないんだよ。穢れじゃないものだってあるんだから」
「穢れじゃない?」
「そうだよ。物の怪だって悪さしなければ穢れてない。穢れに触れてなければ、物の怪だって人と変わらないよ」
「こ奴は思い切り穢れておる! 章親に傷をつけたではないか!」
思い出したのか、魔﨡が縋り付く章親を振り払い、振り被った錫杖を振り下ろした。
「わーっ! ちょ、ちょっと待ってって!」
振り払われたものの、再び飛び付いた章親のお陰で、魔﨡の錫杖は狙いを外した。ぶぅん、と唸りを上げた錫杖が、少年の側頭部を掠めて床に叩き付けられた。がきぃん、と派手な音がする。後ろの青年のほうが気を失った。
「あっ?」
驚いた拍子に、少年の耳が異形になった。あまりのことに、思わず正体を晒してしまったようだ。だが耳が縦長で尖った他は、特に大きく変わったところはない。
『あ、そいつ、鬼です』
びょーん、とどこからか飛んできた毛玉が、章親の肩に飛び乗って叫んだ。