あやかしあやなし
「それにね、君は穢れてないといっても、鬼なのであれば人よりも気自体が強いはずなんだ。だから、人である僕の浄化も、軽くやっただけだったら効かないよ」

「おいらはやっぱり、人とは違うの……」

 しょぼん、と悲しそうに、鬼っ子が言う。

「人とは違うとはいっても、僕はそんなの気にしないよ。だからさ、仲良くなるためにも、君のことを教えてよ」

 章親が言った途端、背後の気が、ぴりっと張り詰めたのがわかった。多分嫉妬だろう。章親が仲良くなろう、と誘ったのが二人は気に食わないらしい。
 全く、と心の中で思いつつ、章親は背後の空気をあえて無視した。

「お、おいらは完全な鬼じゃないんだ。それは、鬼と人との間にできた子供だからで」

 鬼っ子の語ったことに、章親は少し驚いた。よく都の姫君を攫って弄ぶ鬼というのは聞くが、そういった場合は、大抵姫君は帰らない。最後は食われるからだ。

「その鬼って?」

「大江山の鬼だって」

「ええええっ?」

 章親が目を剥く。大江山の鬼といえば、少し前に都を荒らし回った有名な鬼だ。

「まぁ奴はしょっちゅう都の姫君を攫っておったしなぁ。そういえば、最後に攫われた姫君は確か無事戻って来られたはず。そのお子か」

 皆がほとんど忘れていた、初めのほうに失神していた青年のほうを見ていた吉平が口を挟んだ。

「して、この者は?」

 陰陽寮の者全てを把握しているわけではないので、吉平にもわからない。だが全く知らないということは、上の位ではないだろう。
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