あやかしあやなし
「おぬしがおねんねしておる間に、鬼っ子が全て吐いたわ。おぬしに唆された、とは言わなんだがな、聞いておればわかるものよ。おぬしはこの鬼っ子が周りのことをよぅ理解しておらぬことをいいことに、大方陰陽寮で聞きかじった術の類いを試しておっただけであろう」
思考回路がめちゃくちゃな魔﨡にしてはまともな見解だ。青年からはまだ何も聞いていないが、鬼っ子の様子から、確かにそのような感じを受けた。
案の定、ぐ、と青年が口を噤む。が。
「は、初めにも言ったが、私だって不用意に都の物の怪を狩ると良くないということぐらいわかっている。だから、何も殺して回っているわけではない。物の怪だって、少し怪我をする程度だろう。物の怪も悪戯程度に人を脅かしたりするではないか。お互い様だ」
悪びれることなく言い放つ。陰陽師には、こういう者は珍しくない。得てして物の怪を下に見るものなのだ。
「貴様は少し怪我をする程度と思っているようだがな、雛は瀕死の重傷だ」
「そんなこと……。たまたま弱い物の怪に当たっただけであろう。瀕死だなど、大袈裟なのではないか?」
随分と低い惟道の声に、若干言い淀んだ青年だったが、一目で地下人とわかる惟道に『貴様』呼ばわりされるのは癪に触る。もっとも陰陽師自体、そう身分が高いわけでもないのだが。
「大体おぬしは何者なのだ。大方安倍家の雑色ではないのか? 吉平様にならともかく、雑色ごときにそのような口を利かれる謂れはない」
思考回路がめちゃくちゃな魔﨡にしてはまともな見解だ。青年からはまだ何も聞いていないが、鬼っ子の様子から、確かにそのような感じを受けた。
案の定、ぐ、と青年が口を噤む。が。
「は、初めにも言ったが、私だって不用意に都の物の怪を狩ると良くないということぐらいわかっている。だから、何も殺して回っているわけではない。物の怪だって、少し怪我をする程度だろう。物の怪も悪戯程度に人を脅かしたりするではないか。お互い様だ」
悪びれることなく言い放つ。陰陽師には、こういう者は珍しくない。得てして物の怪を下に見るものなのだ。
「貴様は少し怪我をする程度と思っているようだがな、雛は瀕死の重傷だ」
「そんなこと……。たまたま弱い物の怪に当たっただけであろう。瀕死だなど、大袈裟なのではないか?」
随分と低い惟道の声に、若干言い淀んだ青年だったが、一目で地下人とわかる惟道に『貴様』呼ばわりされるのは癪に触る。もっとも陰陽師自体、そう身分が高いわけでもないのだが。
「大体おぬしは何者なのだ。大方安倍家の雑色ではないのか? 吉平様にならともかく、雑色ごときにそのような口を利かれる謂れはない」