あやかしあやなし
「けど実際攻撃の類いをしてたのは、あの術師だよ。こいつは直接何やったわけでもないでしょ。だからこそ、章親もこいつを惟道に任せたんじゃない。おいらたちの寺なんて、それこそ物の怪の巣窟なんだから。敵と思ってたら、そんなところにやらないよ」

 ぴた、と惟道の足が止まった。くるりと振り返り、鬼っ子をじろじろと見る。

「小丸は優しいのぅ。まぁ章親の頼みもあるし、確かにこ奴自体は直接物の怪を狩ったわけではないかもしれぬが」

 小丸に同調はしているが、鬼っ子を見る目は相変わらず冷たい。

「雛が怯えておる。それだけの恐怖をこのように小さな雛に与えただけでも罪ではないか」

「あ~……。まぁ、雛は可哀想だけどさ。年齢的に言えば、雛も鬼っ子も、そう変わらないんじゃないかなぁ」

 惟道がやたらと雛を大事にするのは、何となくぱっと見の大きさによるのではないか? 普通の人の子供よりも、両手で包めるほどの小さな鳥のほうが弱そうだ。
 だが雛は、小さくとも単なる鳥ではない。烏天狗なのだから、普通の人の子よりも生きている可能性だってある。
 小丸はまた、ちろりと鬼っ子に視線を落とした。

「人とそう変わらない形が災いするなんてねぇ。お前がもっと見るからに物の怪だったら、惟道もここまで冷たくないと思うよ? まぁ章親の頼みってのは大きいね。それがなかったら、置いて行かれてるところだよ」

 少し意地悪く言い、小丸はとっとと惟道の後を追った。
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