惚れたら最後。
「絆も真面目だよね。そんな畏まった顔しないでよ」



かと思えばあっけらかんとした顔で笑うものだから気が抜けた。



「琥珀からその話題が振られるとは思ってなかったんだよ」

「そう?確かに嫌な目にあったけど、今幸せならそれでいいよ」



はにかむ琥珀は別に無理はしていないようだ。



「でも、まさか絆がこんな性格だったとは思いもしなかったな。
仏頂面で無口なのかと思えばよく笑うし、結構年相応なところもあるし」

「そりゃ琥珀の前だけだ。琥珀だってそうやってすぐ顔真っ赤になったり、そういう年相応なところも可愛い」

「……」

「なんだよ、なんで黙るんだよ」

「私がしわくちゃのおばあちゃんになってもそういうこと言うのかなって」

「へぇ、琥珀の思い描く未来はもうそこまでいってんのか」



何気なく話すこの時間が幸せでたまらなくて頬がゆるむ。

こんなたおやかに流れる時間はあっという間にすぎ、気がつけば琥珀の大学の入学式を直前に控えていた。
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