ハツコイぽっちゃり物語
「私部屋戻る」
立ち上がった私をお姉ちゃんと恋ちゃんはポカンと口を開けて見ている。
そして恋ちゃんをひと睨みしてその場を去った。
ばふっとベッドに腰をかけてムカムカする気持ちを落ち着かせるように傍にあったクッションを抱えた。
む、ムカつくーーっ!
『ね、千桜』ってなに。むかつく。
それになんで勝手に言うかな。
わたし今、先輩と疎遠中なんですけど!
……て恋ちゃんは知らないよね……。
はぁ、今頃私のこと変だのあーだのこーだの言ってるんだ。
自分の気持ちと向き合わないといけないのにこれじゃ先輩といつ話すことができるのか。
……先輩、今何してるのかな。
会いたいなぁ。
声聞きたい。
先輩に抱き締めてもらいたい。
――コンコン。
抱えているクッションに力を込めた時、ドアをノックしてお姉ちゃんが顔を出した。
「入るよ?」
「……うん」
入ってきたお姉ちゃんは私の部屋を見回ってコルクボードにある写真を見て笑っている。
元はお姉ちゃんと共同の部屋だったけど、結婚をして家を出てからはほとんどが私の物で溢れかえっている。
懐かしそうに机を撫でる彼女は絵に描いたように綺麗だった。