黒い桜の花は、散ることしか知らない(中)
 次の日ー。
 「夜、また、ミナミに行くよ!!」
 そう言われて、今度は、ヘアメイクして、飲みに行くような、スタイルで、ミナミに出た。
 すると、来るわ来るわ、ホスクラの呼び込み…。
 Mちゃんは、大喜びしていた。
 「(身なりで、判断されるとは…。)
(まぁ、これだけ、人が多かったら、当たり前か…。)」
 ここは、ミナミ…。
 「ボッタくられた!!」なんてよく聞く話…。
 「(ここは、安全に、案内所に行こう!!)」
 そう決意し、Mちゃんの方を見ると、もう、値段交渉までしていた…。
 驚いたあたしは、すぐ、止めに入り、呼び込みに手を振った。
 あたしの態度に、Mちゃんは、ご立腹。
 「なんで、止めたの?!!
折角、声かけられたのにっ!!
天使が見つかるかもしれないのよ?!!」
 ヒートアップする、Mちゃんに、「ボッタくられていいの?」と言った。
 その瞬間、Mちゃんは、黙った。
 あたし達は、案内所に行き、案内所の人に、声をかけた。
 「すいませーん。
ホストクラブ、紹介して欲しいんですけど…。」
 あたしは、奥に向かって、声をかけた。
 すると、奥から、男性が出てきた。
「はいはい。
どんなとこがいいですか?」
「大阪で、1番大きなとこ。」
「じゃあ、Kさんやな。
空いてるか、聞いてみます。」
「はい。」
 お兄さんは、すぐ、電話してくれた。
 電話確認が終わり、その店に行くことになった。
 向かっている途中、お兄さんは、色んなことを教えてくれた。
 「ボッタくりが多いから、案内所をご利用ください。
案内所割引もありますので。」
「分かりました。」
「今回は、案内所割引で、お1人様500円です。」
「ありがとうございます。」
 そうこうしていると、ホストクラブに着いた。
 案内所のお兄さんが、K店の人と話して、500円にしてもらった。
 「では、時間いっぱい楽しんで下さい。」
「ありがとうございました。」
 すると、お店の人が、「身分証を、お願いします。」と言ったので、あたし達は、身分証を出した。
 ホストに、入る許可をもらい、店内に入った。
 入ってみて、びっくり!!
 店内の広さに驚き、プレイヤーの多さにも驚いた。
 新規説明に来た、プレイヤーは、「プレイヤーがあまりにも多いので、選んでいただけますか?」と言った。
 しかし、あまりの多さに、誰とは決められず、説明に来た、お兄さんに、「お兄さんが、いいと思う人を、つけてください。」とお願いした。
 お兄さんは、笑いながら、下がっていき、新規タイムが始まった。
 あたしは、喉が痛くて、声が中々出せなかった。
 それは、ここに来る前に、Mちゃんに言っていて、Mちゃんが、話すことになっていた。
 なのに、Mちゃんは、自分の気に入った人としか、話さなくて、結局、あたしも話す事に…。
 「(喉痛いって言ったのに…。)
(Mちゃん、こっちの人とも話してよ…。)
(あ、喉痛い…。)」
 あたしは、Mちゃんにイラッとした。
 ホストの方は、あまりに多くて、半分しかついてくれなかった…。
 ただし、半分とは言え、40人からいるので、20人がついてくれた。
 なので、疲れ果ててしまった…。
 Mちゃんは、テンションが上がり、「もう一軒行こう!」と言い、再び、案内所に向かった。
 あたしは、喉の限界がきていて、話すのが大変dった。
 だから、今度こそ、Mちゃんに話してもらおうと思い、お願いした。
 それでも、Mちゃんが、話してくれないなら、行くのをやめようと思った。
 けれど、Mちゃんに、強く言うことができず、Mちゃんに従う事しか出来なかった。
 喉が痛いまま、2軒目…。
 2軒目は、人数が、かなり少なくて、すぐに、ローテーションが、終わってしまった。
 この事に、Mちゃんは、ご立腹…。
 あたし的には、BGMがアニソンだったので、楽しめた。
 3軒目で、Mちゃんは、代表に、入れ込んだ。
 「あの人、天使の生まれ変わり!!」
「(なぜ、天使と思う…?)
(なんの根拠もなく…。)」
 4軒目になると、案内所も閉まっていて、呼び込みが、頼りになった。
 そこで、呼び込まれたのが、BAR…。
 これまた、Mちゃんが、お気に召さない…。
 だから、すぐに出た。
 5軒目は、看板で決めた。
 だけど、場所がわからなくて、迎えにきてもらった。
 新規で、色んな人がついたが、最後の方できたのは、どMくん…。
 「(この疲れ果ててる中、どMかよ…。)
(イヤだな…。)」
 あたしは、そっけない、態度を取っていた。
 がっっ!!
 それが、どMくんにとって、最高の態度だったらしく、恍惚な眼差しで、あたしを見るようになった…。
 どMくんは、恍惚な眼差しのまま、ポーっとなっていた。
 心配になった、Mちゃんの担当は、「お前、彼女(あたし)の地元について行くなよ?」と言った。
 でも、どMくんは、上の空で返事…。
 「(地元に来たら、追い返してやる!)
(今まで、出会ってきた、どMの中でも、1番のどMだわ…。)
(ここまでくると、気持ち悪い…!!)」
 あたしは、余計に、塩対応になり、どMくんは、大喜び…。
 疲れ果てた、夜だった…。
< 9 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop