Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編

レイ王子の乳母(ナニィ)には、公爵夫人であるお母様が選ばれた。そりゃ妥当というか……最強でしょ。何せ、元はとある組織の特殊なエージェントなんだから。警護についての技術は超一流みたいだし。
(実際、王太后からの刺客を笑顔のまま倒し、捕まえたのは一度や二度じゃないからね)

「女王陛下のご健康もようやく安定されているわ。きっと明人殿下との御婚姻がようやく認められ、御家族ができたからでしょうね」
「そうですね」

僕も正式にレイ王子殿下への侍従に叙された。一応ぼくも特殊な軍人並みの訓練は受けてる。つまりは、体を張ってレイ王子を護れ……ということだろう。

(別に、言われなくても勝手に護ってたけどね)

13歳のぼくが女王陛下に相応しいとはとても思えないし、元より諦めていた恋だ。明人叔父さんと幸せそうなところを見守るだけでいい。
レイ王子は息子というより年の離れた弟感覚だけど。ぼくがきっと護りとおす、と人知れず決意をした。

(女王陛下が命がけで産んだ御子なんだ……きっと、なにがあってもぼくが護るよ。君が成人してきちんと幸せになるまで……それまで、ぼく自身の幸せとかはどうでもいい)

レイ王子を護りとおすことが、ぼくの唯一の恋の帰結だ。それをなしてはじめて自分のためになにかをしよう。何年かかるかわからないけど……。

アーベルにその決意を話せば、彼は背中を叩いて親指を立てる……いわゆるサムズアップをした。

「うん、いいと思うよ。ぼくはそういう生き方嫌いじゃない……でもさ。親友として言わせてもらうと。君自身も大切にしてほしいし、幸せになって欲しいんだ」
「ありがとう。アーベル、君は必ず夢を叶えて政府の中枢を担って欲しい。レイ王子が王位に就いた時のために」
「ああ、任せろ。必ず出世して重臣になっておくよ」

アーベルと、固く固く誓いあった。内外でレイ王子を支えよう、と。

< 105 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop