Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
『きゃああ!!』
『レイ!』
『殿下!!』
白刃がレイ王子の背中をバッサリ切り裂き、同時に複数の悲鳴が上がる。
御典医長が抜いたと同時にぼくも反射的に駆け寄ったけど、妨害に遭い間に合わなかった。いつの間にか警備の者に囲まれた上に銃口を向けられ、発砲を避けるので精一杯だったからだ。
同様に警備に銃口を向けられた叔父さんは発砲をものともせず、息子のレイ王子を固く抱きしめて何度も凶刃を息子の代わり受ける。しかも、同時に銃弾を何発も受けていた。
「叔父さん!レイ殿下……くそっ!」
咄嗟に警備兵の一部を素早く気絶させ、突破口を開いたぼくは銃を奪い躊躇いなく撃つ。女王陛下も気になるが、今は目の前の叔父さんと殿下を!!と駆け寄ろうとすれば、ビシッと足元に着弾があって足を止めざるを得なかった。
『止まれ、カール』
「え……」
その声を聞いた瞬間、まさに全身が凍るかと思えた。
信じられない。
まさか……と、思いたかった。
でも……事前に悟られないようこれほど大がかりな警備計画の変更が出来るのは……たった一人しかいない。
『ち、父上……?』
ぼくが嘘だろう、という思いで呼べば、ふん、と父上は鼻で笑った。
『……異国人の血を持ったおまえに、父などと呼ばれたくないわ。吐き気がする……』
『父上……』
見なくても、わかる。心底嫌悪し侮蔑しきった顔をしているだろう口調。
『スパイをしていたつもりかもしれんが、王太后陛下の方が一枚上手だったな。異国人の夫を迎えたあの欠陥女王と異国人の血を持った王子では国が滅びる。今度こそ純血のゲオルグ殿下に王位に就いていただき、このグレース王国にかつてのような繁栄を迎えるのだ』