Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
それからは、ただ無我夢中だった。
オーベン公爵と撃ち合いながら、何とか移動して倒れた叔父さんに近づく。
数人がかりで叔父さんを抱えあげ、抱きしめられたレイ王子を殺そうとしている。それを認めた時、一も二もなく柱から飛び出し素早く連中を仕留め続けた。
「!!」
油断したわけではないが、途中でわき腹と腕を撃たれた。火で炙られたような灼熱の痛みと出血で意識が飛びそうになるが、それ以上の怒りで体が動き続けた。
「レイ王子……!」
連中をあらかた片付けた後に柱の陰に叔父さんの体を引っ張り込んだ。まだ13歳では叔父さんとレイ王子の体が重すぎて、抱えて走るなど不可能。ましてや銃弾を何発も受けている。
レイ王子はあれだけ深手を負っていたんだ……早く治療をせねば命に関わる!と焦りながら叔父さんの体を転がすと、がっしりと息子を固く固く抱きしめていた。一部の隙がない抱擁は、本当に命がけで息子を護ろうとしたんだ、と悲しくなったけど。叔父さんのそこからレイ王子を助けねばならない。
「叔父さん、ごめんね……レイ王子を助けたいんだ」
ぼくがそう呟いて叔父さんの腕を解くと、不思議なことに連中があれだけ手を焼いたのに、あっさりレイ王子を手離した。
まさか、まだ意識が?と思ったけど。既に呼吸も脈もない。完全に亡くなっていた。
「叔父さん……絶対、絶対ぼくがレイ王子を護るから!何からも護るから!!」
本当ならば、もっともっと話したかった。けれど……状況は最悪だ。残る少人数で抑えてもらってはいたが、最後の一人が倒れた今、ぼくしかレイ王子を護れない。
叔父さんが命がけで護ったレイ王子は、荒くても呼吸がある。素早く血止めを施したぼくは、おんぶの要領で素早く王子を背負い、退路を確認して最短コースで脱出すべく柱から飛び出した。