Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
そして、その日。もう一人不満を露にしたお方の襲撃があった。
『カールお兄さま、どういうことですの?』
このグルンデシューレは男女別で、さらに学年は厳格に分けられているのに。それを承知の上で現れたのが、二学年下の従妹のマリアだった。彼女は栗色の髪を規定通りきちんと束ね、まるでお手本になりそうな制服の着方。真面目さを体現した従妹に、素晴らしい!と内心で喝采を送った。
『どういうことって?』
彼女が言いたいことは解っている。お父様と話し合ったオーベン公爵家の後継ぎの件だろう。けど、ぼくはわざと惚けてみせた。
『わざとらしく惚けなくとも結構ですわ。この件は伯父様が言い出すはずがないですもの。おおかたカールお兄さまの考えでなくって?』
(わ~お、さすがマリア。まだ6歳ってのにすごい聡明さだ)
すぐに事情を察するのも素晴らしいけど、グルンデシューレの教室で具体的な内容を避けて発言するのもナイスな判断。ことは公爵家の後継に関わる重大ごと。幼いままだと感情のままにわめき散らして周囲に知らせるだろうが、マリアはそれはまずいと理解しているのだ。わずか6歳でここまで出来る子どもはいないよね。
だから、ぼくは彼女ならオーベン公爵家を継いでも問題ないと判断したんだ。