Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編

ぼくの進路は決まった。
今時古いけど、10歳で入学できる国立の特別士官学校というものがグレース王国にはあり、見習いとして王宮で働きながら学べるんだ。
日本の高校相当の内容も学習でき、専門としては男子だと実務官か軍務官。女子だと女官か軍務官のコースがあり、その学校で学び適正試験に何度も合格しなければ王宮での仕事に就けないんだ。

8年間その学校で学ぶ間は寮に入り、よほどの理由がなければ実家に帰れないし、外出も制限される。

卒業後は更に上級職を目指せる上位の学校もあるけれど、士官学校からのエスカレーター式と言えど実務と学習面の両方でよほどの優秀者でなければ入学不可なんだ。

つまり、8年間見習いとして実際に働くのは適正や人間性等を評価するため。子どもだからと甘えたり貴族という立場をかさに着てサボったりするやつは、適正無しとみなされ退学処分となる。この厳格なシステムのお陰で、行政官の方はかなり優秀なんだけど。

「……アーベル、なにも君もボクに従う必要はないんだよ」
「いいんだ。僕は将来政治家になるって言ったろ?王宮で人脈を広げるのに、これ以上最適な方法はないよ」

グルンデシューレの3年次に士官学校への志願書を出す際に、アーベルも志願したことには驚いた。確かに彼は伯爵家の爵位を継ぐけど……。

「もしもだけどさ、カール。君が王宮から離れる必要があった時。僕だけは残って君の戻る場所を作っておきたいんだよ」
「王宮からか~……まあ、多分ないと思うけど」

その時のぼくは、まだまだ楽観視し過ぎたのかもしれない。女王陛下を取り巻く悪意がどれだけ激しいものだったか、を。お母様や叔父さん等が宮中に入るから、と油断して完全に見誤っていた。


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