Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編


そうこうして女王陛下を支援しやつらを監視する体制を作った効果もあり、陛下が王宮へ戻ってもあからさまな虐待はなかったらしい。
ようやく女王陛下がその身分に相応しい扱いを受けられるようになれた。

そして叔父さんか言ってたグルンデシューレの王宮見学の日がやって来て、引率者は普通にぼくたちの担当の先生。叔父さんには女王陛下の身辺警護の仕事があるから、グルンデシューレの先生役はそっくりな人が身代わりを務めてた。

グレース王国の王宮ーーフィッツカルド宮殿は川に挟まれた丘陵に建てられている。別名白鳥の城と言われるほど、白亜の色彩と優美な曲線を描くデザインが美しく、王太后の趣味で造られた庭園が見事なもの。お城の規模だけ見れば、大国にひけを取らないだろう。
十代ほど前の国王が、外交で不利にならないように、と心血を注ぎ30年もの年月を経て完成させたものだ。

「……見事なものだね。これ程のものとは思わなかった」

アーベルがため息とともに出した感想には、完全に同意だった。頷いたぼくも、あちこちキョロキョロ見てしまう。まるで好奇心丸出しな観光客だけど、ぼくらにはある使命があるんだ。

王宮見学はやはり表向きの綺麗な部分しか見せてくれないし、素晴らしい点ばかり強調して説明される。ぼくらが見たいのはそんなものでなくて……。

王宮内に入り込んだ時。タイミングを見計らって、わざとらしい演技を繰り広げた。

『あ、先生。カールがおトイレに行きたいそうです』
『う~もれそう……あたた、お腹がいたい‼』

(……カール、どちらかにしなよ)
(仕方ないだろ!ホントに痛くなったんだから)

実は演技ではなくホントに腹痛に襲われていたぼくのお陰で、疑われることなく見学の列から外れることができた。

……賞味期限を3日過ぎたケーキを食べるのは止めようっと。

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