愛は惜しみなく与う【番外編】
そしてその日以降、響先輩はいつも通りお仕事を頑張っていた。
少しシフトが増えたから、会いやすくなった。

けど2人で話すことはあれから一度もない

でもね

目が合えばニコリと笑ってくれるの。
それだけで幸せ


そう思ってたある日


ディナータイムがおわり、お店を閉めようとしているときに、柄の悪い2人組が店内に入ってきた。

ラストオーダーは終わってますと伝えても、帰らずに文句を言われる始末。


どうしよう


「おい、ねーちゃん。責任者呼んでこいや。食べてやるって言ってんだから飯作れよ!」


怒鳴られて体がこわばる。
掴まれた腕も痛い

今日は店長はいないし、安達さんはもう一店舗のほうでデザートを作っている。


もう営業が終わったから今ここにいるのは、あたしともう1人のホールのバイトの男の子と、そして響先輩だけ。



「おい、なんか喋れよ。それかお前が暇潰しの相手してくれるのか?」


ニタニタ笑う男の人が怖かった

もう1人のホールの子に助けを求めて視線を動かしても、その子も同じように震えていた。

どうしよう
< 47 / 645 >

この作品をシェア

pagetop