パトリツィア・ホテル
次の日曜日。

私は朱理の家に上がって、テンパっていた。


「どうしよう……そんな場に着ていくドレスなんて、持ち合わせてないし」


そんなことを呟く私を見て、朱理は苦笑いした。


「それで。また私に見立てをしろって?」

「お願い……本当に。だって、全然分からないもん」

「まぁ、いいけどね。友達が有名人になってくれたら、私も鼻が高いし」

「なりたくて、有名人になるんではないんだけど……」

「ごちゃごちゃ言わない。あんたはもう、避けては通れないでしょ」


朱理はそう言って、にこっと白い歯を見せた。


(朱理、何だか機嫌いいな)


いつもにもましてニコニコ笑っている彼女を見て、そんな気がした。

そんな彼女の左手にふと目をやると……薬指に光るリングが見えた。


「あれ、朱理。それ、どうしたの?」

「それって?」

「ほら、その薬指につけている……」


すると彼女は、頬を桃色に染めてニッと笑った。


「やっと、気付いたか。私……実は、彼氏できたんだ」

「えっ、彼氏って……」

「そっ! 絹川くん」

「え〜〜〜!」


私は驚いた。

朱理……確かに遠足でちゃっかりと絹川くんと仲良くしてたけど。

まさか、こんなに急に!?
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