パトリツィア・ホテル
パーティー当日。

私はパトリツィア・ホテルの入口で、震える右手をギュッと握っていた。

ホテルに出入りしている女性は、ピンクやサファイアブルー、エメラルドグリーン……本当に華やかな衣装を身に纏った綺麗な人ばかりで。

男性もクールにスーツを着こなしたカッコいい人ばかりで。

私は思わず、気後れしてしまった。


(どうしよう……私、やっぱり場違いだ)


朱理に服を見立ててもらった時の自信はどこへやら……私はすっかり及び腰になってしまっていた。



「あら、島崎さん」


突然に背後から掛けられた声に、ビクっとして振り返った。

この声……上品な中にも何処か邪意を感じるこの声は……


「神澤さん……」

「あなたも御参加?」


黄色いドレスに身を包んだ彼女は、流石はゴージャス美女……ホテルへ出入りする女性たちの中でも、一際目立っていた。


「はい。その……発案者として……」

「あらぁ、あなた、こんな場は慣れないのでお疲れではなくて? 無理なさらなくていいのよ?」

「え、いえ……」

「今ここで帰られてもいいのよ。新宮くんには、島崎さんは急に体調を崩して帰られた、とお伝えしますから」


神澤さんはそう言って、ホホホホホと笑った。


「………………!」


(こぅぉの、性悪女が!!)


私は口からそんな言葉が飛び出そうとするのを、必死で堪えた。
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