パトリツィア・ホテル
「あぁ、いい、いい。だってあのコ、いつも咲ちゃんに意地悪なことするじゃん」

「いや、だけども……」

「咲ちゃんに意地悪をする奴はみんな敵。たとえ、それが会社にとって重要なお嬢様だとしても」


新宮くんのその言葉は私の心をトクンと揺らした。


「うん……ありがと」


それが本当に大丈夫かどうか、分からなかったし、少し嫌な予感もしたけれど。

私は彼のそんな、真っ直ぐな気持ちがとても嬉しかったんだ。




彼に手を引かれて大きなロビーに入ると、その場にいる皆の視線が一気にこちらへ集まった。

その視線を集めているのは、新宮くん……ではなく、私?


「新宮社長御子息と一緒にいる、清楚で美しいお嬢様は誰?」

「何でも御子息の彼女さんで、今回の新アトラクションの発案者らしいわよ」

「発案者!? 流石……社長御子息の彼女さん。才色兼備よね」


そんなひそひそ声の話し声が飛び交って。

私はかぁっと顔が熱くなって俯いた。


(私……そんなすごい人間じゃないんだけどな)


そうは思うけれど、でも、周りからのそんな声は、まるで私を新宮くんの恋人と認めてくれているような感じがして。

それは悪い感じではなくて……寧ろ、私の胸には嬉しさが込み上げてきた。
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