パトリツィア・ホテル
私は社長の隣……みんなの前に立つことになった。


「こちらの可愛らしいお嬢さんが、このアトラクションの発案者の島崎 咲さん、その隣が私の息子の勇人です」


社長に紹介されて、何か言わなきゃと思い焦った。


「ひゃ……はじめまして、島崎と言います」


私は速攻で声が裏返り、会場からちらほらと笑い声が聞こえた。

隣の新宮くんも必死に笑いを堪えていて。


(もう……何なのよ、この状況!?)


私はひたすらにテンパっていた。


「では、このアトラクションの公開に先立ちまして、発案者の咲さんから御挨拶をいただきます」


にこやかにそう言った社長から、マイクを渡された。


「…………!」


私はテンパるあまり、真っ白になってしまって。

言葉が出てこなかった。


しかし……


「大丈夫」


隣の新宮くんが、私の腕をちょいちょいとつついて、潜め声で言った。


「いつも通り、思っている通りに言ったら」

「え」


真っ白になりながらも目が合った私に、新宮くんは真っ直ぐ、真剣な顔で頷いた。


(いつも通り、思っている通り……)


私は彼がささやいたその言葉を頭の中で反復して。

すっと、周りには気付かれないくらいの深呼吸をした。
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