パトリツィア・ホテル
| 第二章 パトリツィア・ランドで……

翌朝。


「ねぇ、ちょっと。あんた、一体、どういう魔法を使ったの?」


一緒に登校する朱里は興味と嫉妬の入り混じった声で私に尋ね続けた。


「知らないわよ、そんなの。こっちが聞きたいわよ」


私は溜息を吐いた。

昨日……突然の指名の後から、ずっとこんな調子。

指名されて新宮くんの隣に立ってから、自分がどんな自己紹介と挨拶をしたか、全く覚えていない。

ただ、隣の新宮くんがひたすらにカッコよくて、見惚れていて。

それは良いのだけれど……ホームルームが終わってからというもの、私の行く先々で女子達の嫉妬を含む眼差しがチクチクと刺さる。

神澤さんに至っては、私を見る目が血走っていた……ような気がして背筋が凍りついた。

入学初日から、女子達の目の敵にされてしまった。

これって、ちょっとマズいかも……。





そんなことを憂いていた時だった。


「よっ!」


私は不意に肩を叩かれた。

その瞬間、隣を歩いていた朱里の瞳にハートが浮かんだ。


「新宮……くん」


今日も安定のかっこよさ……綺麗にセットされた髪からは心地よい香りが漂う。

でも、私の顔は少し引き攣った。

だって、周りではみんな、ヒソヒソ声で話してるし、注目の的になってるし……。
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