パトリツィア・ホテル
「し、新宮くん?」

「いやぁ、流石は咲ちゃんのお母様! 素敵すぎて!」

「…………!」

私はその言い様に何処か悪意を感じて彼を睨んだけれど……

お母さんはうっとりとした瞳で彼を見つめた。

「まぁ、新宮のお坊ちゃま。ようこそ! 今朝、テレビで見たけれど……実物はさらに、イケメンでカッコいいわね」

「はい、はじめまして! 咲さんと仲良くさせていただいている、新宮 勇人と申します」

「まぁ、何て礼儀正しい……御曹司様のことは、テレビでも新聞でもよく話題になっているし、よく知っていますよ。不束な娘ですが、よろしくお願いします」

お母さんはぺこりと頭を下げた。

「いや、お母さん。そんなことより、あの横断幕をどうにかして……」

「あのベランダの横断幕……とっても素敵ですね。まさに、お母さんの人柄が現れていて。あれを作るの、さぞかし御苦労されたことでしょう。あの横断幕は是非とも、あと一週間は飾っておくべきだと思いますよ」

「まぁ、流石は御曹司様……よく分かっておいでで。私もすぐにしまうのは勿体ないので、暫く飾っておこうと思っていましたのよ」

「…………!」


私のことなど置き去りにして、新宮くんはすっかりお母さんと意気投合したのだった。
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