パトリツィア・ホテル
「ま、庶民とは言ってもうちのお母さんはお料理上手だし! 今回は料理の素材もいいんだし、いけるかもね。一緒に食べよ!」


彼に『家庭』……『お母さん』を思い出して欲しい。

そんな想いで、努めて明るく振る舞う私に、新宮くんは白い歯を見せてにっこりと笑った。







「これ、咲。お膳立て、手伝いなさい。未来の旦那さんが来てるんだし、少しはポイント稼がないとね!」


「み、未来の……ちょっと、お母さん、やめてよ! 恥ずかしいじゃない! ほら、新宮くんもドン引き……」


「はっはっは。咲ちゃんとお母さんって、とても仲が良いんですね。いいなぁ」


「あら、新宮のお坊ちゃん、笑顔が素敵! こんな子が将来、息子になるなんて……私、嬉しいわ」


「…………!」


リビングでのお膳立ての最中も、お母さんと新宮くんは共謀して……かどうかは分からないけれど、散々私をからかってきた。

一々、ムキになって否定する私も悪いのかも知れないけれど……新宮くん、お母さんと気が合いすぎる!

もし私達がくっついたら、こんな気苦労ばかりなのかなぁ……

なんて思ってたら、こっぱずかしくて。

私の顔はカァッと火照ってしまった。
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