パトリツィア・ホテル
そんな私達を見て、お母さんはクスッと笑った。

「あなた達、ほーんとうに仲がいいわね」

「いや、そんな……」

「そうなんです、お母さん」


私達の声は重なって……お母さんは声を上げて笑った。


「まぁ、二人のお話は食事中にゆっくりと聞かせてもらうってことで。冷めないうちに、いただきましょう」

「ええ……」


この二人にどうも調子を狂わされる私だけれど、この豪華な食事を前にして空腹には抗えなくて。

二人と一緒に、手を合わせた。


「「「いただきます」」」


家族での食事……それはきっと、新宮くんにとって、特別なもので。

我が家のこの温かな食卓が、彼の心に残ってくれたらいいな……なんて、私は思ったのだった。





「……へぇ、子供の時にあなた達、一緒に迷子になっていたのね」

「はい、そうなんです。その時から咲さん、とってもしっかりしていて頼もしくて。僕、ずっとその時のことが忘れられなかったんです」

「まぁ、この娘、しっかりしてるだなんて見かけ倒しよ。もう、おっちょこちょいで頼りないのなんのって」


お母さんの質問攻めに新宮くんはそつなく答えていて。

私は反論する気も起こらず、ひたすらに食卓のステーキに集中していた。

それに、ステーキ、本当に美味しかったし……。
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