パトリツィア・ホテル
「それにしてもこのステーキ、とっても美味しいです。お母さん、お料理、お上手ですね」

「まぁ、お坊ちゃんのお口に合ったのなら嬉しいわ」

「でも、咲さんが作ってくれるお弁当もこれに負けないくらい美味しくて。やっぱり、お料理の上手さって遺伝するんですね」


すると、お母さんは目を丸くした。


「まぁ……咲ったら、お坊ちゃんにお弁当まで!? この頃、持って行く量が倍になってたのは、単にこの娘の食い意地のせいだと思ってたわ」

「ちょっと、お母さん! いくら私でも、お昼に弁当を二杯も食べないって!」

「それ、すごい! 咲ちゃんがあんな量を食べてただなんて……想像しただけで、もう完全にツボにどはまり……」

「だから! それ、絶対におかしいって!」


真っ赤になる私を見て、新宮くんとお母さんが笑う。


「もう……」


私はケラケラと笑う、憎めないこの二人を睨んだ。

からかわれるし、こっぱずかしいことばかりだったけれど、この三人での食卓は新鮮で、楽しくって、何よりとっても温かくて。

新宮くんは終始笑顔で、幸せそうだった。


そんな彼を見ていると、お母さんの強引な誘いではあったけれど……

今日、彼を私の家に連れて来て、お母さんに紹介することができて、良かった。

私は心の底からそう思ったんだ。
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