パトリツィア・ホテル
| 第九章 夏

私達の創った『Story Maker』は、パトリツィア・ランドのアトラクションの中でも空前の大ヒットとなった。

新聞やニュースでも取り上げられて、その人気はランドの中でも一位、二位を争うほどで……

これをごく一般の女子高生が発案したなんて信じられない、という声が、世間でも数多く上がるほどだった。



そして、その発案者の私はというと……

「うぅ……期末テスト、もう明後日なのに三角関数が全く分からない。ちょっと、ゆうちゃん。助けてよぉ〜」

自分の部屋に呼んだパトリツィアの御曹司、新宮 勇人に、必死で数学の教えを乞うていたのだった。


「何回言ったら分かるんだよ。いい? sinっていうのは……」

彼は苦笑いしながらも教えてくれる。

彼のそんな顔もカッコいいな……と思って見とれてしまって。

これではどうも、彼の説明も頭の中をさーっと通り抜けてしまう。

「どう? 分かった?」

「うーん、分かったような分からないような……」

「それでは……これだけ熱弁を振るった俺としては、ツラいなぁ」

そんな私に、彼も呆れ顔だ。

「兎に角、私は数学は本当に苦手なのよ。中間テストも赤点だったし。ゆうちゃんはどうして、全科目そんなにできるのよ。やっぱ、頭のつくりが違うの?」

私は半ば、ヤケ気味に尋ねた。

私が数学が全く分からない……というのと彼がカッコよすぎる、というのは関係ないはずだ、多分。
< 131 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop