パトリツィア・ホテル
「いや、全然そんなことないって。ただ……深く考え過ぎないってことかな?」

「深く考え過ぎない?」

「そう」


彼はうなずいた。


「俺は数学とかこういうの、あんまり理解もしてない段階から問題を解いて、解き方を体に覚えこませる。その方が俺にとっては効率も良いし、早いから」

「え、うそっ! 理解もしてないのに、問題を解けるの!? それこそ、本当に頭のつくりが違うんじゃ……」

「いいや、そんなことないよ」


彼は今度は、ゆっくりと首を横に振った。


「俺のは大体、解き方を覚えているだけ。だから、教えろって言われてもあまり上手くは教えられない。でも、咲ちゃんは、問題を解く前にしっかりとちゃんと、数学の論理とかを理解しようとしてるだろ? 勉強って、そうして理解することの方がずっと大切だって思うよ」

「うーん、何か良く分かんないけど。結局、『俺には勉強の理解できない奴の気持ちは分からないから上手く教えられない』って言われているだけのような気がする」

「いや、どう解釈すればそうなる!?」


力一杯に捻くれる私を見て、彼は呆れ顔で苦笑いした。

彼の言う理屈は良く分からないけれど……どうやら私達は、勉強のやり方に関してはタイプは正反対らしいってことは分かった。
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