パトリツィア・ホテル
すると、彼女は得意そうに、睫毛の長い目を細めた。


「私は愛しのダーリンが手取り足取り、教えてくれたから。中間試験の時よりは成績上がるかも」


あ、そうか。

今や、朱里はお医者さんの息子……恐らくは国立大医学部志望、バリバリの絹川くんの彼女だったんだ。

そりゃあ、余裕しゃくしゃくにもなるワケだ。

でも、それなら……私も状況的には変わらないはずなんだけどな。

私のゆうちゃんは教えてはくれたんだけれど、どうも、私とは勉強方法が違うみたいだったし。

そんなことを考えて溜息を吐いているうちに、授業の始まるチャイムが鳴った。

程なくして私達の教室に数学の高石先生が入ってきて、数学のテストを配り始めた。



「え、うそ。何これ?」

「こんな問題、見たことねーよ」

テストが皆の机の上に回ってからすぐに、そんな声が教室中から上がった。

それは三角関数のテスト問題……だったんだけど。

確かに学校で使っている問題集には載っていないような問題ばかりだったのだ。

「はーい、静かに! ちゃんと授業を聞いて三角関数を理解していれば、解ける問題のはずですよ」

高石先生は、手をポンポンとたたいてニッと白い歯を見せていた。
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