パトリツィア・ホテル
「おひめさまだぁ〜」


その二人の瞳は星が瞬いているかのように、キラキラと輝いた。

私は女の子の頬をぬらしていた涙を指でそっと拭った。


「あなたたち……お母さんは?」


すると、男の子の顔が途端に曇った。


「僕がみゆきと王女さまのパークを見に行って、帰ったらいなくなってて……どこに行ったか、分からないんだ」

「そっか……あなたたち、兄妹?」


男の子はこくりと頷いた。

曇った顔をしている兄とは対照的に妹の瞳はキラキラと輝いたままで……私は、『あの時』のことを少し思い出した。


(あの時……私達もそうだったな)


だから、私はその幼い兄妹ににっこりと微笑みかけた。


「ねぇ、あなた達。お姉さんと一緒に探しに行こっか。あなた達のお母さん」

「え、本当に?」

「わぁ、ありがとう。お姫様!」


(あ、そう言えば……今の私はお姫様だったっけ)


今の自分の華やかな格好を忘れていた私はペロッと舌を出した。

その時だった。


「浩介! みゆき!」


その子達のお母さん……若くて綺麗な女性が瞳に涙を浮かべながら走ってきた。


「もう……どうして、お母さんから離れたりしたの?」

「だって、だってぇ……」


男の子は泣きながらお母さんに抱きついていて……私はホッと胸を撫で下ろした。
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