パトリツィア・ホテル
「それで、昨日。どうだったのよぅ?」


朱里のその言葉でまた昨日のことを思い出して……私の顔はまた、かぁっと熱くなった。


「い、いや、別に何も……」

「なかったワケがないってのはあんたのその顔を見れば明らかだけど。どうだったの? キスくらいまで進んだ?」

「え、い、いや……それは……」


私はしどろもどろ、俯くと朱里は目を丸くした。


「うそっ、もうそこまで進んだの!? やるじゃん!」

「しっ、朱里。声、大きい」


私が周囲を気にすると、朱里はクスッと笑った。


「なぁにを今更、周りを気にしてんのよ。あんた、もうすでに充分不審だって」

「もう……」

「それより、ホント。そこまで進むとは……というか、あんた、まさかそんな顔で行ったりしなかったわよね?」


朱里は普段通りのすっぴん、黒い前髪で隠れた私の顔を見て眉をひそめた。


「そ……そりゃあ、昨日『だけ』は、あんたに見立ててもらった格好で行ったわよ」

「そっか、昨日『だけ』か」


朱里は私の顔を見て、フフンと笑った。


「そりゃあ、きっと、ギャップの効果ね」

「ギャップ?」

「そうよ。新宮くんもきっと、あんたのその普段とのギャップにムラっときたのよ。やったね!」

「い、いや。ムラっとって……」


私達はそんな会話を交わしながら、いつも通りに学校に入った。
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