パトリツィア・ホテル
(えぇ〜、これって俗に言う『ヤキ入れ』!?)


私の頭の中では、死語となっているそんな言葉まで出てテンパった。


「い、いえ……私、今はトイレ行きたくないんで」

「あら、私が御一緒したいのよ。私、島崎さんとお友達になりたいわ」


そんなことを言う彼女の目は全く笑ってなくて、寧ろ瞳の奥を冷たく光らせていて……

(絶対に行ってなるものか!)

そう心に誓った私は、精一杯に丁寧な口調を作って抵抗した。


「え、ええ、私も神澤さんとお友達になりたいです。すごくお綺麗ですし……。でも、おトイレはちょっと……一人で行きたいです」

「あら、嬉しいわ。あの新宮くんが見初めた方にそんな風に思ってもらってるだなんて……光栄ですわ」

「えぇっ、見初めてだなんて。何のことでしょう?」

「あらまぁ、隠さなくても私、知ってますのよ。昨日、この桜木がパトリツィア・ランドであなた達二人を見たって言ってますもの」


神澤さんがその子……桜木さんを指すと、取り巻きの一人の彼女は腕を組み嫉妬を孕んだ眼差しで私を見ていた。


(わぁ〜、やっぱり……見られちゃってたんだぁ)


私は焦って、さらにしどろもどろになった。


「ま、まぁ……確かに私達は昨日、パトリツィア・ランドには行きましたが、別に、そういうつもりで行ったわけじゃあ……」

「あら、じゃあ、どういうおつもり?」


クラスメイトの視線も気にしない神澤さんの毅然とした態度に、私はたじたじになってしまった。
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