パトリツィア・ホテル
しかし、私の胸のざわつきはおさまらなかった。

(新宮くん……神澤さん達から守ってくれたの?)


さっき新宮くんが神澤さん達に向けていた冷たい眼差しは、私をぞくっとさせて今でも全身を痺れさせている。

それに……


(俺の咲ちゃんに変なことをしたら、絶対に許さない……)


さっき、新宮くんの放ってくれた言葉が私の中でひたすらに反芻して。

私は数学の授業が一切頭に入らなかった。



その昼休み。


「咲ちゃん」

「は……はい!」


新宮くんに声をかけられて、思わず声が裏返った。


「何、その声」


新宮くんはクスッと笑った。

その笑顔が可愛くて……朝の冷たい眼差しとのギャップに、またときめいてしまった。


「昼御飯。一緒に食べようぜ」

「えぇっ!?」

「だって、ほら。学級委員として話したいこともあるし、いつもの教室で」

「う、うん……」


私はクラスの女子達の嫉妬を含む視線を背後にビンビン感じながら、彼の後を付いて行った。


(うぅ〜、クラスの女子を完全に敵に回しちゃった)


ちょっと、やってしまった感はあった。

でも、目の前の彼……新宮くんの背中はとても大きく見えて、何があっても私を守ってくれるような気がして。

私の胸には不安はなかった。
< 51 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop